2022年、初代モデルの誕生から50周年を迎えた、オーデマ ピゲを代表するモデル「ロイヤル オーク」。50周年モデルとして一斉にモデルチェンジを行ったが、これまでと変わった点はどこなのか。今回は、実機を触る機会を得た『クロノス日本版』編集長 広田雅将が、4本のモデルをピックアップして押さえるべきポイントを語る。
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今年、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」が発表から50年を迎えた。それに伴い、同ブランドはロイヤル オークのモデルチェンジを行った。すでに一部の人の手元には渡っていると思うが、改めてその概要を述べたい。ちなみに筆者は、ひと通り新作を触る機会を得た。
2022年のロイヤル オークは、基本的に既存のモデルと大きく変わっていない。特徴的なスタイルも、傑出した外装の仕上げも同じだ。もっとも、外装のクオリティーは、10年前のものはもちろん、5年前のものと比較しても向上している。具体的は、均一に施された筋目は変わっていないが、よりエッジが明瞭に立つようになったのである。
2022年の“新しい”ロイヤル オークとは、そういった進化を背景にしたものだろう。直径39mmの「エクストラ シン」を除いて、ケースの斜面に施される面取りが深くなり、時計の立体感はわずかに強まった。また、多くのモデルが、プリントしたロゴから、24Kゴールド製のアプライドロゴに変更された。これは「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」に準じたもの。併せて、インデックスのファセットが強調され、やはり時計全体の立体感を強めている。
ロイヤル オークのRef.15500がリリースされた際、オーデマ ピゲは、ベゼルを絞り時計をモダンに見せるというアプローチを取った。対して2022年のモデルチェンジでは、バランスを旧に戻し、その一方で、時計全体の立体感を強めるという方向性を取った。個人的な意見を言うと、この“穏やかな”改良は、ここ数年のモデルチェンジの中で、もっとも妥当なものに思われる。少なくとも筆者は好みだ。
ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン
穏やかな変化はブレスレットにも見て取れる。一体型ブレスレットの初段から4コマは、厚みを抑えられたほか、すべてのコマが薄く軽くなった。わずかな違いではあるが、装着感は向上している。最も筆者は、重い18Kゴールドモデルを試していないので、装着感に関する印象は、ステンレススティールモデルに限ったものだ。細腕の人にとって、ロイヤル オークとはいささか付けるのが難儀な時計だった。ただ触った印象でいうと、2022年版は、ずっと“気楽”になった。
文字盤も進化した。全面に施された「プチタペストリー」または「グランドタペストリー」仕上げは従来に同じ。ただし、ロイヤル オークではおなじみの“ナイトブルー、クラウド50”カラーは、メッキからPVD仕上げに変更された。正直、今から5年以上前のロイヤル オークは、この“ナイトブルー、クラウド50”の色味が安定しなかった。メッキで仕上げるため、ロットごと仕上がりにばらつきが出たのである。しかし、PVD処理に変更することで、理論上はばらつきがなくなるだろう。以前のロイヤル オークは、実物を見ないと怖くて買えなかったが、PVD仕上げの文字盤であれば、写真そのままの仕上がりを期待してよい。
ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン
新しいロイヤル オークのケースサイズは、34mm、37mm、38mmと41mm。また、今年販売される37mmと41mmの自動巻きとクロノグラフに限り、22Kゴールド製でできた「50周年記念」のローターが採用された。